ヒント

カウンセリングを「あなたの味方」にするための12のヒント

~限られた時間を、ともに温かい時間にするために~

カウンセリングを受けようとするとき、多くの方は「何を話せばいいのだろう」「うまく話せるだろうか」と大きな不安や緊張を抱いてご来室されます。どうぞ、身構えないでくださいね。

実は、上手に話すこと以上に大切なことがあります。それは、カウンセリングという場を「どう捉え、どう味方につけるか」を、あらかじめ少しだけ知っておくことです。同じ60分のセッションでも、この知恵を知っている人と知らない人とでは、心に残るものが大きく変わってきます。

あなたの大切な時間とエネルギーを一番良い形でお守りし、ともに実りある時間を過ごすために。「賢い活用法」というよりも「カウンセリングをあなたの味方にするための12のヒント」として、心を込めてお伝えします。

1. カウンセリングは「二人で歩む共同作業」です

カウンセリングとは、対話を通じてあなたの心が少しずつ解きほぐされていく、温かい人間関係の場です。 歯医者さんの治療のように「ただ椅子に座っていれば、何もかも治してもらえる」という場所ではありません。また、占いのように「黙って座っていれば、言葉を出さなくてもピタリと当ててくれる」場所でもありません。 カウンセラーが一方的に何かを「与えてあげる」場ではなく、あなたとカウンセラーが肩を並べ、力を合わせて進める「共同作業」の時間です。この前提を頭の片隅に置いていただくだけで、カウンセリングはぐっとあなたの味方になります。

2. 上手に話せなくても、「伝えたい」気持ちがあれば十分です

カウンセラーは「言葉だけでなく、あなたの心を聴く人」です。 ときに、ご自分の悩みを紙にびっしり書いて渡し、「これを治してください」とおっしゃる方がおられます。あなたの必死な思いは痛いほど伝わってきますが、それだけですと、カウンセラーはどう寄り添えばよいか戸惑ってしまうことがあります。できれば、あなたの言葉や表情を通して、今のお気持ちを聞かせてほしいのです。 上手に話す必要はまったくありません。言葉に詰まっても、涙があふれて沈黙が続いても、それはすべてあなたにとって大切な時間です。大切なのは、「この人に自分のことを知ってほしい」というほんの少しの気持ちです。もし、話す気力すら湧かない日があれば、「今日は話す気力もありません」とそのまま教えてください。それもまた、立派で大切な最初の一歩です。

3. 心が軽くなる「4つの仕組み」を知っておく

カウンセリングを受けると心がスッと楽になるのには、主に4つの理由があります。

  • ① カタルシス効果: 胸の中に溜まった思いを吐き出すことで得られる、心の浄化とスッキリ感。
  • ② バディ効果: 「この人は私を分かってくれた」と感じることで、深い孤立感から解放される安心感。
  • ③ アウェアネス効果: 声に出して話す中で頭の中が整理され、自分自身でハッと大切なことに気づく感覚。
  • ④ 専門的なオーダーメイドの助言: あなたの状況や性格に合わせた、具体的な視点やアドバイス。

この4つは、実はお友達との楽しくて大切なおしゃべりであっても、なかなか得にくいものです。ご友人にはご友人の価値観や立場があり、時には議論になってしまったり、相手の話も聴かなければならなかったりして、かえってモヤモヤが残ることもありますよね。 「今日は胸を吐き出したいのかな」「気づきがほしいのかな」と仕組みを知っておくだけで、時間をより主体的に活用できるようになります。

4. もし「辛さ」を感じたら、一人で抱え込まず教えてください

カウンセリングを重ねる中で、かえって一時的に心が辛くなることがあります。その原因は大きく分けて2つあります。 ひとつは、残念ながら「カウンセラー側に問題がある場合」です。話を真摯に聴かない、個人的な関係を強要する、「通わないと不幸になる」と不安を煽って継続させようとする、自分の価値観を正解として押し付けてくる――こうしたカウンセラーは、悲しいことですが実在します。 もうひとつは、回復の過程で避けて通れない「大切な痛み」である場合です。例えば、依存症や過去の傷から回復しようとするとき、これまで蓋をしてきた辛い思い出に向き合う作業は、どうしても一時的な痛みを伴います。 「このカウンセラーは合わないのでは」「これは今、必要な痛みなのかもしれない」と疑問に思ったときは、どうか遠慮なく、そのお気持ちをそのままカウンセラーに率直にぶつけてみてください。一緒にペースを調整していきましょう。

5. 「疲れる」理由も、3つのタイプに分けて考えてみる

セッションが終わったあと、どっと疲れてしまうときも、その原因を整理してみましょう。

  • ① 体調がひどく悪い場合:無理をせず、まずは身体を休めることを優先してください。
  • ② 思い出したくない記憶に向き合う痛み: 回復のための大切なプロセスですので、焦らずゆっくり進めていきましょう。
  • ③ カウンセラーの聴く力そのものが乏しい場合: 相性やカウンセラーの変更を検討してよいサインです。

ただの壁に向かって60分話すのと、全身全霊で熱心に耳を傾けてくれる人に話すのとでは、疲労感の質がまったく違います。「すごく疲れたな」と感じたら、どの疲れなのかを自分に優しく問いかけてみてくださいね。

6. どんなことでも、安心してそのままお話しください

「こんなことを言ったらカウンセラーに失礼ではないか」という遠慮、「軽蔑されるのではないか」という恐れ、「秘密が漏れたらどうしよう」という不安から、言いたいことを飲み込んでしまう方は少なくありません。 ですが、どうぞ安心してください。プロのカウンセラーは厳しい守秘義務の訓練を受けています。あなたがどんなに重い内容や、人に言えない悩みを打ち明けても、あなたを軽蔑したり否定したりすることは決してありません。 せっかくの貴重な時間とお金です。思い切ってズバリと言ってしまいましょう。どうしても直接言いにくいときは、「実は、困っている知人がいて…」と、一度他人事のように切り出していただいても全く構いませんよ。

7. 魔法の「答え」ではなく、あなた自身の「気づき」を求めて行く

カウンセリングは、一方的に「正解のアドバイス」をもらう場所である以上に、対話を通じてあなた自身が「あ、そうだったんだ」と深い気づきを得る場所です。 あなたの生きてきた背景や環境を十分に理解しないまま出される「一般論のアドバイス」は、実のところあまり役に立ちません。「自分は話したくない。手っ取り早く答えや情報だけがほしい」という場合は、専門書などを読む方が役に立つこともあります。 カウンセラーに「180度人生が一変するような魔法の答え」を期待しすぎないことが、失望を防ぎ、本当の意味でご自身の足で歩み出すためのコツです。

8. 「どうしてほしいか」のご希望は、最初に教えていただけると嬉しいです

「今日はただ、否定せずに話を聴いてほしい」「具体的にどう動けばいいかアドバイスがほしい」、あるいは「どうしたいのか、自分でもさっぱり分からない」。 どのようなご希望でも大歓迎です。最初にその時のお気持ちを教えていただけると、カウンセラーはあなたにとって一番心地よく、役に立つサポートを準備することができます。「分からない」という答えも、私たちにとっては大切な道しるべになります。

9. ほんの少し「自分の心」に目を向ける姿勢を持ってみる

カウンセリングの効果を実感しやすい方には、「自分の小さな変化に気づける」「素直に試してみる」「自分の人生を自分で良くしたいという気持ちがある」という共通点があります。逆に、過去や他人ばかりを変えようとしたり、頑なになってしまうと、どうしても変化を感じにくくなります。 もちろん、効果が出ないことをクライアントのせいにするようなカウンセラーは失格です。これは「そうでなければダメ」という条件ではなく、「今日からほんの少しだけ、自分の心に興味を持ってみようかな」という優しい意識を持つだけで、誰でも効果を受け取りやすくなるというヒントです。

10. カウンセリングルームは、書かれた「言葉」をじっくり読んで選ぶ

電話応対の感じが良さそうだからと、それだけでカウンセリングルームを決めてしまうのは少し注意が必要です。悲しいことですが、悪質なルームほど口コミが少ないため、電話での集客や営業に過度な力を注いでいることがあります。丁寧な声に安心して訪れたら、初回に高額なクレジット契約で回数券を買わされた、という被害も実際に起きています。 判断材料にしていただきたいのは、ホームページに書かれた「文章そのもの」です。定型文ではなく、カウンセラー自身の言葉で、あなたに寄り添うようなオリジナルの文章が誠実に書かれているかどうかを、じっくり読んで確かめてみてください。

11. 「沈黙」も、大切な会話の時間です

セッション中に言葉が途切れても、「何か話さなければ」と焦る必要はありません。 じっと黙っている時間も、あなたの心が一生懸命に言葉を探していたり、自分の感情を噛みしめていたりする大切なプロセスです。言葉にならない沈黙のままでも、カウンセラーは温かくあなたと共にそこにいます。どうぞ安心して、その時間を過ごしてください。

12. 今日からできる「小さな行動」の積み重ねが、あなたを自由にします

カウンセリングは、ただ待っているだけで魔法のように何かが変わる場所ではありません。しかし、ここまでお伝えしてきた視点を頭の片隅に置いておくだけで、同じ60分でも得られる安心感や気づきは大きく変わります。 「うまく話せなくても伝えようとしてみる」「辛くなったら正直に言う」「自分の希望を伝えてみる」――これらはすべて、今日からできる小さな行動です。「賢い利用」とは特別な知識のことではなく、ご自身のペースでこうした小さな行動を重ねていくことなのだと、私は思っています。

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