強い脳・弱い脳

強い脳・弱い脳


世の中には、ストレスに強い脳をお持ちの方と、ストレスに弱い脳をお持ちの方がいらっしゃいます。 そして、それとは別に、ストレスを感じやすい脳をお持ちの方と、ストレスを感じにくい脳をお持ちの方がいらっしゃいます。 (ここで言うストレスとは「歪んだ状態」という意味で使っています。正しくは「ストレッサー」ですね。)

言っている意味が、まだピンと来ないかもしれません。

お酒に例えてお話ししてみましょう。 お酒の強い人と、お酒の弱い人がいます。 そして、それとは別に、お酒の好きな人と、お酒の嫌いな人がいます。 ここで、大雑把に、4種類の人間に分けることができます。

お酒が好きで、お酒の強い人
お酒は好きだけれど、お酒の弱い人
お酒は好きではないけれど、お酒の強い人
お酒が嫌いで、お酒の弱い人

おわかりいただけたでしょうか?
ちなみに私は、お酒は好きだけれど、お酒の弱い人です。)

非常に乱暴なくくりではありますが、脳にもこれと同じようなことが言えるのです。

脳が強くて、ストレスを感じにくい脳
脳が強いのに、ストレスを感じやすい脳
脳が弱いのに、ストレスを感じにくい脳
脳が弱くて、ストレスを感じやすい脳

このうち、いちばん心の病になりやすいのは、脳が弱く、ストレスを感じやすい脳をお持ちの方です。

「脳が強い・弱い」とは何か

脳が強い弱いとは、脳内の化学伝達物質が乱れやすいか、乱れにくいか、ということを言います。 (この言葉は私の造語です。頭の良し悪しや精神薄弱とは何の関係もありませんし、根性のあるなしとも一切関係がありません。)

脳の強い人とは、少々のストレスに見舞われても、脳内の化学伝達物質に支障をきたさない人のことです。 脳の弱い人とは、少々のストレスでも、脳内の化学伝達物質に変調をきたしてしまう人のことです。(詳しくは、拙著『心の病199』をご覧ください。)

脳が弱い人は、お酒の弱い人とよく似ています。お酒は鍛えればある程度強くなりますが、お酒の弱い人は、根っからお酒の強い人には敵いません。アルコールを分解する肝臓の機能に、もともと差があるからです。それと同じように、脳の弱い人も、鍛えればある程度強くなります。それでも、根っから脳の強い人の丈夫さには、なかなか追いつけません。脳内化学伝達物質の働きに、もともとの差があるからです。

脳が弱い人は、どうすればいいのか?

では、脳が弱い人(頭が悪いという意味では決してありません)は、どうすればいいのでしょうか? 「私は、心の病になりやすい」と嘆いているしかないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。脳が弱い人は、ストレスを感じにくい脳にしていけばいいのです。ストレスをストレスと感じないような、そんなものの考え方ができるようになれば、それで十分なのです。

ちなみに私(竹内成彦)は、胃腸の弱い人です。 それでも、胃腸を壊すことはめったにありません。暴飲暴食を慎んでいるからです。それと同じで、脳の弱い人は、脳に負担をかけない生活態度・ものの考え方を、少しずつ身につけていけばいいのです。胃腸が弱いからといって、必ず胃腸を壊すわけでも、駄目な人であるわけでもありません。脳が弱いからといって、必ず心の病になるわけでも、駄目な人であるわけでもないのです。

脳に負担をかけない生活態度をつくるには、「健康を維持する9つの心掛け」を読み、それを日々実践していくことです。 そして、脳に負担をかけないものの考え方をするには、歪んだ認知でものごとを捉えないことです。歪んだ認知がどういうものかは「認知の歪み」のページに書いてございます。「マイナス思考の癖がある方も、脳に負担をかけやすい、ストレスを感じやすい脳をお持ちの方」と言ってよいかと思います。

おわかりいただけたでしょうか。 自分の脳が強いか弱いかにかかわらず、脳に負担をかけないものの考え方・生活態度を進めていくことが、いちばん大切なのです。

自分の脳は強いのか、弱いのか

「自分は脳に負担をかけやすい人かどうか?」は、日頃のものの考え方や生活態度を振り返れば、ある程度わかります。 では「自分の脳は強いのか、弱いのか?」は、どうすれば知ることができるのでしょうか。

これは、なかなか難しいところです。 ストレスを感じにくい脳をお持ちなだけで、実は脳自体は弱いという方は、たくさんいらっしゃいます。そう、本人が気づいていないことも多いのです。そういう方は、周囲が驚くほどあっけなく、心の病になってしまうことがあります。次に、脳の弱い人は精神病(統合失調症やうつ病)になりやすく、ストレスを感じやすい人は神経症(ノイローゼ)になりやすい、という傾向があります。

自分の脳が弱いか強いかを判断する、ひとつの目安があります。それは睡眠です。 「何があっても睡眠に影響が出ない」という方は、脳が強い可能性が高いと言えます。

まとめ

不健全なものの考え方をしていても、脳が強いというだけで、心の病にならずに済む人がいます。 その一方で、健全なものの考え方をしているのに、脳が弱い(脳内化学伝達物質に変調をきたしやすい)ばかりに、心の病になってしまう人もいます。

あなたは、次の4つのうち、どのタイプに近いでしょうか。

脳が強くて、ストレスを感じにくい脳
脳が強いのに、ストレスを感じやすい脳
脳が弱いのに、ストレスを感じにくい脳
脳が弱くて、ストレスを感じやすい脳

ストレスを感じにくい人になるためには、不健全なものの考え方をしている自分を、少しずつ改めていくことです。これだけは、薬だけではなかなか難しいところです。カウンセリングを受けることが、近道になるかと思います。薬は、脳内化学伝達物質の変調を正常に戻す働きをしてくれます。そして、強い脳をつくるためには、私の書いた「健康法」を大切に守っていくことです。それでも、脳の弱い人は、根っから脳が丈夫な人にはなかなか敵いませんが…。

最後に、脳を強くする方法として、私はサプリメントにも大いなる期待を寄せています。 私自身、朝起きて、理由もなく気分がすぐれない時があります。何か嫌なことを考えているわけでもないのに、理由もなく憂鬱なのです。そういう時は、ものの考え方を、どう工夫しても、どうにもなりません。何かに悩んでいるわけではないのですから。そんな時の私は、思い煩うことなく、ただ淡々と雑務をこなすばかりでした。

サプリメントを飲むようになってから、そういう朝を迎えることがめっきり少なくなりました。理由もなく、いつも気分がいいのです。人の言葉が、突き刺さって来なくなりました。まるで見えないベールに、そっと体を包まれているような、そんな安心感さえ感じています。性格の改善だけでは限界を感じていた私にとって、これは本当に大きな、明るいニュースでした。

この文章で、いちばんお伝えしたいこと

私がこの文章で申し上げたいのは、ひとつだけです。 「たまたま強い脳を持っているというだけの理由で、心の病を抱えている人のことを、『根性なし』『怠けているだけ』『精神力が足りない』『性格が暗い』『育ちが悪い』などと言わないでください」ということです。

脳が強い・弱いという言葉は、私の造語です。お医者さんに尋ねても、おそらく「?」という顔をされると思います。そして、脳の強い弱いと、知能や性格は、何の関係もないということを、ここでもう一度お伝えしておきます。

ご質問をいただいたので、お答えします

脳が弱い方は、脳という臓器を診てくれる病院へ。 脳は強いけれどストレスを感じやすい方は、認知に歪みがあることが多いので、カウンセリングルームへ足を運ばれるのがよいかと思います。

とはいえ、これはあくまで大まかな目安です。カウンセラーの中にも、話を聴くことが得意なカウンセラーと、具体的なアドバイスをすることが得意なカウンセラーがいます。ご自分がどうしてほしいのか、来談の目的をハッキリ伝えていただけると、よりお力になれると思います。もっとも、ご自分でもよくわからない、ということは、決して珍しいことではありません。そう仰る方は、そういう状態のまま、いらしていただいても大丈夫です。

大切なのは、カウンセラーとクライアントの相性です。 「この人になら話してみてもいいかもしれない」と、少しでも感じていただけたなら、その気持ちを大事にしていただきたいと思います。


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