睡眠時間・睡眠薬・快眠のために知っておきたいこと
睡眠時間は「何時間」よりも「日中の状態」で考える
睡眠について調べていると、「短時間睡眠でも元気に生活できる」という話を目にすることがあります。なかには、1日30分程度の睡眠を長期間続けていると公言している堀大輔さんのような方もいます。
もちろん、世の中には生まれつき睡眠時間が短くても健康に過ごせる人がいるのかもしれません。ただ、私はこれまで心理カウンセラーとして、18,000件以上のカウンセリングに携わり、睡眠に悩んでいる方にもたくさんお会いしてきました。そして何より、私自身が「短時間睡眠になりたい」と何度も挑戦して、見事に失敗しています。
私も3回、ショートスリーパーになろうとしました
私は10代、20代、30代の3回、短時間睡眠に挑戦しました。
「睡眠時間を短くすることができれば、その分だけ起きている時間が増える。仕事も勉強も趣味も、もっとたくさんできるのではないか?」そんなことを考えていたのです。
単なる思いつきではありません。「短時間睡眠法」など、睡眠について書かれた本を読み、高額教材を買って、自分なりに努力をし、勉強もしました。ところが、3回とも1週間ほどで体調を崩し、失敗しました。←私の場合は、眠気というより、頭痛やイライラにやられました。
私は、「努力すれば睡眠時間を減らせる」と思っていたのですが、どうやら私には無理だったようです。今振り返ると、これは非常に大切な経験だったと思います。睡眠には個人差があり、「頑張れば誰でも短時間睡眠になれる」というものではないからです。
短時間睡眠でも平気な人は、かなり少ない
私自身、これまでの人生で、「1日4~5時間程度しか眠らない」と仰る方に何十人もお会いしてきました。
しかし、そのなかで、
・短時間睡眠でも日中まったく眠くならない
・朝もすっきり起きられる
・体調も良い
・集中力も保てる
・元気に生活している
という方は、ごくわずかでした。
反対に、「自分は短時間睡眠で大丈夫」と思っていても、実際には慢性的な睡眠不足になっていたり、日中に何らかの不調を抱えていたりする方も少なくありません。ですから、他人が「私はこれだけしか眠らなくても大丈夫!」と言っているからといって、それを自分にも当てはめる必要はありません。
「何時間眠ればいいのか?」は、人によって違います
睡眠時間については、年齢による目安があります。
一般的には、乳幼児や子どもは長い睡眠時間を必要とし、成人ではおおむね7~9時間程度、高齢になると必要な睡眠時間は少し短くなるとされています。いくつかの睡眠に関する本を読んでも、年齢によって必要な睡眠時間が変わること、そして個人差が大きいことが繰り返し書かれてあります。
ただし、ここで大切なのは、「〇時間眠れば、必ず大丈夫」と単純に考えないことです。必要な睡眠時間には、年齢だけでなく、体質、生活習慣、そのときの心身の状態などによって個人差があります。だから私は、睡眠時間の数字だけを見るよりも、眠ったあとの自分の状態を見ることが大切だと思っています。
あなたに必要な睡眠時間は、体が教えてくれる
たとえば、次のような状態なら、現在の睡眠時間はあなたに合っている可能性があります。
・朝、比較的すっきり起きられる
・昼間に強い眠気を感じない
・体が軽い
・集中力を保てる
・夜になると自然に眠くなる
・朝起きたとき気分が重くない
反対に、
・朝起きるのがつらい
・目覚ましがないと起きられない
・昼間に眠くなる
・眠っても疲れが取れない
・イライラしやすい
・休日になると長時間眠ってしまう
という状態が続いているなら、今の睡眠時間では足りていない可能性があります。
もちろん、これだけで睡眠不足と断定できるわけではありません。ただ、「自分は何時間寝ているか」だけでなく、「その睡眠で、日中の自分はどうなっているか?」を観察してみると良いでしょう。これは、自分に合った睡眠を考えるうえで、とても大切な視点だと思います。
枕やマットレスを変えれば、必ず眠れるわけではない
睡眠環境についても、私は自分自身の経験があります。
私は以前、オーダーメイドの枕やマットレスを試したことがあります。ところが、残念ながら私には合いませんでした。「せっかく高価なものを選んだのに、なぜ合わないのだろう?」と思ったのですが、後から考えてみると、理由の一つが分かりました。
オーダーメイドの枕やマットレスというものは、基本的に、仰向けで寝る人を想定して設計されたものだったからです。
私は仰向けではなく、横向きで寝ることが多い人間です。だから、「オーダーメイドだから自分に合う」「高価なものだからよく眠れる」とはならなかったと実感しました。
これは枕やマットレスに限った話ではありません。睡眠環境は、自分の寝姿勢や体格、好みなどとの相性が大切です。高価な寝具を買うことそのものが、良い睡眠につながるとは限らないということです。
睡眠は「時間」だけで判断しない
睡眠について考えるとき、私たちはつい、「何時間寝たか?」ばかりを気にしてしまいます。もちろん睡眠時間は大切です。しかし、それだけではありません。同じ7時間眠っていても、朝すっきり起きられる人もいれば、昼間に強い眠気を感じる人もいます。
よって、大切なのは、「今の睡眠によって、自分の心と体はどうなっているのか?」ということです。朝の目覚め。昼間の眠気。疲労感。集中力。気分。夜に自然と眠くなるかどうか? こうした日々の変化を観察してみると、自分の睡眠について、これまでとは違った見方ができるようになります。
無理に「短時間睡眠」を目指さなくてもいい
私自身、若い頃には「睡眠時間を減らして、もっと活動時間を増やしたい」と考えていました。しかし、3回挑戦して3回とも失敗しました。
今では、あの失敗も無駄ではなかったと思っています。人にはそれぞれ、自分に合った睡眠があります。誰かが短時間睡眠で元気だからといって、自分まで同じようにしなければならないわけではありません。
睡眠は、他人と競うものではありません。「何時間しか寝ていない」と自慢する必要もありません。自分にとって必要な睡眠をきちんと取り、日中を元気に過ごせること。それが、私にとっては一番大切なことだと思います。
睡眠薬を飲むことを、必要以上に怖がらなくてもいい
睡眠について悩んでいる方のなかには、睡眠薬に対して強い抵抗感を持っている方もいらっしゃいます。
「一度飲んだら、一生やめられなくなるのではないか?」
「依存してしまうのではないか?」
「薬を飲んで眠るのは、自然な睡眠ではないのではないか?」
そんな不安を抱く気持ちは、よく分かります。
もちろん、睡眠薬には注意すべき点があります。薬の種類によっては依存などの問題もあります。よって、自己判断で飲んだり、量を増やしたりすることは避けなければなりません。
しかし、だからといって、睡眠薬を飲むことを必要以上に怖がる必要もないと私は思います。
眠れない日が続けば、心も体も疲れてしまいます。「薬は絶対に飲みたくない」と我慢を続けるあまり、何日もほとんど眠れず、ますます心身の調子を崩してしまうこともあります。
そのようなときには、医師と相談しながら、必要に応じて薬の力を借りることも一つの方法です。大切なのは、睡眠薬を飲んでいるか、飲んでいないかで、自分を評価しないことです。
薬を使わずに眠れることが理想だとしても、必要な時期に適切な薬を使うことまで悪いことだとは、私は思いません。風邪をひけば薬を飲むことがあります。痛みが強ければ鎮痛薬を使うことがあります。眠れないことで日常生活に大きな支障が出ているなら、睡眠薬もまた、医師の判断のもとで使える選択肢の一つです。
もちろん、薬については自己判断せず、処方している医師や薬剤師に相談してください。「睡眠薬を飲んでいるから自分はダメだ」と考える必要はありません。眠れないことを一人で抱え込み、苦しみ続けるよりも、その時々の自分の状態に合った方法を選んでいけばよいのです。
眠っているのに疲れが取れない方へ
もし、「十分眠っているつもりなのに疲れが取れない」「夜になっても眠れない」「朝起きるのがつらい」「睡眠のことが気になって仕方がない」という状態が続いているのであれば、睡眠時間だけではなく、生活習慣やストレス、心の状態なども含めて、一度ゆっくり考えてみるとよいかもしれません。
睡眠の悩みの背景には、仕事、人間関係、家庭のことなど、さまざまな心配事が隠れていることもあります。一人で考えていると堂々巡りになってしまうときは、誰かに話してみることで、自分では気づかなかったことが見えてくる場合もあります。
睡眠について悩んでいる方は、どうぞ一人で抱え込まないでください。
カウンセリングに行くという選択肢も、どうぞ視野に入れて下さい。
最後に、「おまけ」です
一時的に短時間睡眠で、現状を乗り切りたい」とおっしゃる方へのメッセ―ですが、方法は食事量を減らすことです。そうすれば、朝、お腹が空いて早く目が覚めます。そして、日中も腹一杯になるまで食べないことです。そうすれば、胃腸に負担がかからない分、睡眠時間を減らすことができます。本当です。私は、3回の短時間睡眠で、それを実感しましたし、今もそれを幾度も経験しています。
でも、この方法は長続きしません。せいぜい1~2週間でしょう。何故なら、少しずつ身体がやせ細って、体力を失っていくからです。よって、どうぞあなたも無理しないでくださいね。
その他、睡眠に関する悩みは、どうぞカウンセリングをご利用ください。
