「カウンセラーになりたい」誕生秘話、その1
私自身、開業する際、一番頭を悩ませたのは、「どんなクライエントが来るのだろうか?」「はたしてしっかり対処していけるのだろうか?」という技術的なことではありませんでした。
私が一番、よくわからなかったのは、「 開業するにあたって、何処にどんな書類を届け出すればいいのだろうか?」「その際、カウンセラーの資格の有無は問われるのだろうか?」「資格の種類によって、許可されたりされなかったりするのだろうか?」「どんな所に、カウンセリングルームを構えたら効果的なのだろうか?」「開業資金は、どのくらい用意しておけばいいのだろうか?」「カウンセリング料は、どのくらいが適正なのだろうか?」「ちゃんとお客さん(クライエント)は、来てくれるのだろうか?」「どのくらいの売上が見込め、どのくらいの売上があれば、カウンセリングルームは、維持していけるものなのだろうか?」 という経営的なことでした。
自分なりに必死に情報を集めましたが、結局よくわかりませんでした。
そのような情報は、どこにも書いてないし、どこからも手に入れることができなかったからです。(カウンセラーを養成する団体も、生徒から授業料を集めることには長けていましたが、クライエントからカウンセリング料を集める術には長けていなかったのです。残念ながら、 何処の団体も…です。)
それでも私は、カウンセラーになりたい一心(生意気言うようで恐縮ですが、カウンセリ ング能力には自信がありました)で開業しました。始めて直ぐの頃は、カウンセリングルームの前の、看板ひとつから悩みました。大きければいいというものではないような気がしましたし、小さ過ぎてもいけないだろうと思いました。あんまり大きいと、目立ち過ぎてクライエントが入りづらいだろうし、あんまり小さいと、クライエントが見つけられないだろう等々。
今考えると小さなことですが、商売( あえて商売と書かせていただきます)を始めるとは、そういうことなのです。
集客のため、最初、折込広告、いわゆるチラシをばら撒きました。お金が出ていくばかりで、思いの他、集客にはつながってくれませんでした。看板もあちこちに立てました。駅前やバス停、電柱広告など…。雑誌にも、広告会社の営業マンの言われるままに広告を掲載 したりしました。どれも、効果はあったりなかったりで、「宣伝が一番難しいなあ」とつくづく思い知らされました。
「そうだ、講演会を開こう。そうすれば、もっとお客さんが来てくれるに違いない!」 今でこそ私は、公民館や学校などで講演会を開いていますが、当時の私には、どうやったら講演会を開くことができるのか、皆目見当がつきませんでした。それで、「そうだ 、もっとクライエントがたくさん来ればいいんだ。そうすれば、やがて講演会に呼んでく れるようになるだろう」等という、卵が先かニワトリが先かという問題を延々と考えていたりしました。
「カウンセラーになりたい」誕生秘話、その2
月日は流れ、
1冊目の本「心の病199」を出した頃から、「あのー、カウンセラーになりたいのですが…」という電話を時々もらうようになりました。当時の私は、「はい、それで…」なんて、とぼけた返答をしていたと思います。
そんなある日のこと、京都の○○病院でカウンセラーとして勤めている臨床心理士資格を持っている方(面識はありません)から、「どうですか? 儲かりますか? どうやったら、あなたのようになれるのですか?」という電話をもらったのです。
忙しかったこともあり、とても不愉快でした。が、その方は、「あなたには教える義務があるし、私には聞く権利 がある」などと訳のわからない理屈を押し付け、根ほり葉ほり、私の実情を聞こうとしてくるのです。
そういうことが重なったこともあり、いいかげん煩わしさを覚えていた私は、「開業カウンセラーの現実」という、一冊の本というかテキストというか小冊子を書きました。「今度そういう電話がかかってきたら、住所を聞いて、この本、送っちゃえ。」と思ったのです。
初めは売る気などなかったのですが、夜中にコンビニでワープロで打った紙をコピーしていたら、「これをタダで配るのは馬鹿馬鹿しいなあ」と思い始めました。「大体 私は、プロなんだし、カウンセリングを趣味でやっているわけではないのだから、堂 とお金を取ってもいいのではないか」と、そう思ったのです。
次の日から、そういった類の電話がかかってきたら、その冊子を売ることにしました。当時は、1,000円だったと思います。その値段が高いのか安いのか、自分でもわかりません。「たかだかコピーした用紙をホッチキスで留めたものを1,000円で売るなんて高いのではないか」と思うこともありましたし、「自分が何百万円もかけて知りえた情報を 1,000円で売るのだから安いに決まっている」と思うこともありました。
それと前後する時期に、「開業するにあたっての経営ノウハウを教えて欲しい」という電話ももらうようになりました。それで、急遽2冊目、「経営ノウハウ教えます」という本も書いたのです。 ここで私は、不思議な思いにかられることが少なくありませんでした。それは、「教えて下さい。どうしても知りたいのです。先生だけが頼りなのです」と言って来る人の中にも 、「では、本を買って下さい。そちらに、お宅様の聞きたかったことが書いてありますので…」と言いかけると、とたんに不機嫌になり、電話を切ってしまう人がたくさんいるということです。
本当に聞きたい人には売る、買ってまで聞きたくない人には売らない、という方針で行こうと決めた私は、大変快適でした。もう長々と説明したり質問されたりしなくて済むよ うになったからです。そういった意味では、この頃、私の書いた本2冊というのは、私に とって、私の時間が盗られないための、ひとつの防衛手段ではなかったかと思います。
ところが、 予期せぬことに、今度は、本を買った人から、色々な質問をもらうようになってしまったのです。私の書いた本を買って下さった方です、さすがに相手しないわけにはいきま せん。丁寧に丁寧に教えます。それで、また大量の時間が取られるようになってしまいました。 そのうち私は、「これはチョッとおかしいのではないか?」と思うようになりました。
という のは、私のカウンセリングルームには、今でもそうですが、「あのー、カウンセラーにな りたいのですが…、どうやったらなれるのでしょうか?」という相談内容で訪れる人が、 月に幾人かは来るのです。 「そういう人からは、しっかり6,000円のカウンセリング料を取っているのに、1,000円で本を買ってくれた人には、なぜ何回も無料で教えているのだろう?」 と思ったのです。
もともとこの本は、売るために書いたわけではないので、「わかりづらい」と言われれば、反論のしようがありません。正にその通りなのです。また、読者層を想定して書いたわけでもないので、誰にでもわかるようにはなってないのです。読みようによっては、 「なんだ、カウンセラーって簡単になれるんだ」と読めなくもないし、「カウンセラーって 大変なんだな」と読めなくもない、という本になってしまっているのです。
それで、売るの なら、「質問も積極的に受けます、わからないことは何でもどんどん聞いて下さい。その代わり、それに見合った料金、カウンセリング料・コンサルティング料は頂きますよ。」 という姿勢を打ち出すようになったのです。
この頃から、本を売るという意識から、情報を売る、カウンセリング・コンサルティング 料を取るという意識に変わっていったのだと思います。もともと、自分のカウンセリング時間を削られないために書いた本のくせに、このような形になるとは思いもしませんでした。
さて、需要と反響に驚きながら、カウンセリングの合間を縫って情報を売っていた私は 、1人の女性に会いました。 彼女は、カウンセラー資格ショッピングをしている人だったのです。「カウンセラーの資格は取ったものの、カウンセリングをする機会は得ることができず、それで次々にカウ ンセリングの資格を取得し続けている」というのです。もう既に、百数十万も使っており 、「今習っているカウンセラーの資格を取得できたら、今度こそカウンセリングできるのではないか」と思っているのです。
心底、「気の毒だ」と思いました。でも、その女性いわく「私のような人は、他にもたくさんいる。もっと早く先生に会っていれば…」
それから私は、少しずつではあるけれど、本業のカウンセリングに支障が出ない程度に、積極的に、この情報を宣伝していこうと思ったのです。
「開業カウンセラーの現実」「カウンセリング事業の経営ノウハウ教えます」には、
カウンセリングルームを始めるにあたって、私がぶちあたった問題の数々の答えが書いてあります。また、「どうして無名の私が講演会を開くことができるようになったのか?」「どうして無名の私が本を出せたのか?」等、経営問題も含めて、皆さんが知りたいことのほとんど全てが書いてあります。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にお買い求め下さい。
この本を読んだからといって、カウンセラーとしての成功が約束されるわけではありませんが、本気でカウンセラーを目指される方には、きっと役に立つことと思います。何故ならば、この本を読んだ方は、私の失敗を繰り返さずに済むからです。私は宣伝広告費だけで100万近いお金を損しています。
さて、読者対象ですが、 「 カウンセラーとして独立したい人」「カウンセラーの資格を活かしたい人」「将来カウンセラーになることを目指されていて、どのような勉強方法が効率がいいのか知りたい人」 たちが該当するのではないでしょうか。
実際、臨床心理士の方から、心理学が全く初めての人まで、大勢の方にこの情報を伝え、実に多くの方に喜ばれています。
尚、この冊子では、カウンセリングそのものについては、基本的にお教えしておりません。適切かつ具体的な勉強方法や、カウンセリングを教えてくれる信用のおける団体はお教えしておりますので、理論や技術そのものについては、他の機関で学んで頂きたいと思います。